判決による贈与税の課税時期

Q 平成21年に裁判所の判決があり、平成13年において土地建物の贈与

 があったものと認定されたので、その贈与を原因とする所有権移転登記

 手続きをした場合、贈与税の課税はどうなりますか。なお、判決では、贈

 与は黙示の贈与契約があったと認定されたもので、文書の贈与契約書

 等はありません。この場合、贈与は平成13年のものとして時効が成立し

 ているのか、あるいは履行時のものとして平成21年分の申告をしなけれ

 ばならないのでしょうか。

 

A 21年度の贈与として申告します。

 

  贈与は、贈与者が自己の特定財産を受贈者に無償で与える旨の意思

 表示をし、受贈者がこれを受諾することによって効力を生ずる契約です。

  このように、贈与は、当事者双方の合意によって効力を生ずる「諾成契

 約」ですが、書面によらないいわゆる口約束の贈与については、贈与その

 ものが無償・片務の契約でもあることから、その履行が終わるまではいつ

 でもこれを取り消すことができることとなっています。

  ところで、贈与税は、個人が他の個人からの贈与により財産をを取得し

 た場合に課税されますが、その課税時期は、「書面による贈与は贈与契

 約の効力発生の時、書面によらない贈与はその贈与を履行した時」とす

 る取扱いがされています。

  これは、書面による贈与については、贈与が上記のように諾成契約で

 あって、当事者双方の合意によって効力が生ずることから、そのように取

 り扱われているものであり、他方、書面によらない贈与は、上記のとおり、

 その履行が終わるまでは当事者双方がいつでも取り消しできるために、

 その贈与を履行した時を課税時期としているものと思われます。

  当該質問では、裁判において、平成13年に黙示の贈与契約があった

 と認定しているようですが、これは「合意(贈与申込とその受諾)による贈

 与契約」が成立していることを認定したものといえるでしょう。しかし、書

 面による契約でない贈与ですから履行時が課税時期とされ、その判決

 ないしは登記があった時つまり平成21年がそれに該当するものと思わ

 れます。